
上のグラフは某自治体の人件費削減に関する公示から引用しましたが、人件費の変動費化が遅れ予算規模の増大に合わせて雇用環境が緩んでしまった行政においては、事業資金が血税という特殊性もありますから、厳しいリストラは当然かも知れません。
しかし我々のようなサービス産業において、コストカットの俎上に真っ先に人件費を上げるのは、原則として間違っていると思っています。
それは所詮人間対人間というサービス産業のビジネスシーンにおいて人件費を削ることを優先するということは、直接的に事業の戦力を劣化させ、競争力を損なうと考えるからです。
むしろ人件費を最大の必要経費であり積極経費と考え、そこに投資する会社が生き残るでしょう。
装置産業ですから設備投資は大切ですが、マンパワーを軽視しては設備投資が活かされません。
そもそも人件費とは何かと考えますと、少々社会主義的かも知れませんが、それは雇用を生み出し、報酬として従業員の生活を豊かにするものですから、人件費比率の高い企業ほど社会に貢献していると言えるのです。
投資家や経営者には、けっして同意してもらえない考え方ですが。
製造業において人手に頼る部門を機械化することは、コストを軽減し競争力を高めますので企業の存続のためには間違いなく必要な方向性ですが、敢えて言うならば、雇用の減少を生み、さらに労働者のスキル低下をもたらします。
人間からマシンに作業を移行することは、極端な言い方をすれば人間社会の崩壊に繋がります。
「ロボットに雇用を奪われた失業者がロボットを襲撃する」というSFの近未来モノにありがちな設定が、非現実ではなくなるかも知れません。
そうでなくとも、資本を握る少数の人間たちとその取り巻きに富が偏り過ぎて、世界各地でデモが起きています。
金融ビジネスは必要なものですが、いくら優秀でもペーパービジネスで通常の労働者の数十倍数百倍の報酬を得ているのは、「公平」という名の悪平等でしょう。
政治が富の再分配にコミットしなければ、資本主義は暴力によって滅びます。
マーケットにおけるルールだって人間が作ったのですから、富の偏在を解消するルールも人間は用意すべきでしょう。
共産国家が崩壊するのはイデオロギーの失敗ではなく、一党独裁による富の偏在があったからです。
ボウリング業界に戻って考えますと、既にアルバイト比率が高いので人件費の変動費化は進んでおり、ざっくりと人件費削減を考える段階ではありません。
人材の選別を重視する時期に来ていると思います。
長く在職しているアルバイトがそのまま社員化し、他に人材が居ないというだけで管理職になるケースが多い点が、業界が低迷している間接的な要因だと見ているからです。
「人件費を使わない」のではなく、「人件費を生かして使う」というのが、ボウリング場を任された者の使命でしょう。

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