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ラウンドワンが教えてくれたこと

今世紀初頭におけるラウンドワンの躍進は見事なもので、ボウリング業界ではそれを真似る業態がいくつも出現した。それから時間が経過した現在、本家はいまだ隆盛であるが、模倣したほうは廃れつつある。
その要因は、作り込みの差にあると考えられる。

模倣したものの多くは、ただ短絡的に収益を求め急ぐばかりだったから、手間とお金を惜しむところが見受けられる。初期投資にはそこそこの資金を投入するものの、あとはひたすら回収を目指すばかりだから、オープン直後の熱気が失われると、時間の経過とともにみすぼらしい雑居ビルに変貌し、消費者が離れていく。
複合アミューズメントという表面的な姿だけを真似て、コンテンツの運営をいろんな業者に丸投げするだけだから、企画サービスの一体感は損なわれ、コンテンツの複合効果が乏しい雑居ビルになってしまうのだ。

ラウンドワンの成功要因は、複合アミューズメントというものを徹底的に追求し、改善と再投資を惜しまなかった成果だと考える。
この、徹底的に追求し改善と再投資を惜しまないという姿勢は、何も複合アミューズメントだけを成功に導くわけではない。すべてのビジネスに当てはまる。
ビジネスの目的は金儲けではあるけれど、それをそのまま目標に出来るのは投資や融資などの金融ビジネスだけであり、現業ビジネスにおいては、目的達成のための手段(製造・販売・サービス・企画)が目指すべき目標を、別途設ける必要がある。
ビジネスコンセプトを定め、無駄と失敗を恐れずそれを徹底的に追求し、改善と再投資を繰り返すことが必要なのだ。
昭和のボウリングブームが去って以降の唯一の成功例であるラウンドワンが教えてくれるのは、その派手な外観や複合アミューズメントという業態ではなく、その経営姿勢なのだと思う。

カテゴリー: ボウリング業界 経験論