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貸靴は何故有料なのか

筆者は中年になってボウリング業界に入ったのだけれど、ボウリング場で働くようになって改めて気づいたことのひとつに、貸靴は有料で貸ボールは無料だという点がある。
もちろん、筆者がマイシューズを持つ以前の一般消費者だった頃にもボウリング場を利用する機会はあり、その時から既に貸靴だけが有料だったわけだけれど、消費者であった頃には格別疑問にも思わなかった。
ボウリング場に勤めるようになり「売上」というものに向き合うようになって、冒頭に記したような疑問を持ったわけだ。
貸靴同様、貸ボール(ハウスボール)だってレンタル料がもらえたら、もっと売上が上がるのにと単純に考えてみた。
もちろん「貸靴は有料・貸ボールは無料」という商慣習は長い期間を経て消費者に定着しているうえに、他のボウリング場では無料なものを有料化することなど出来ないわけだけれど、何故そうなったのか、NBF白石理事長の名著「記憶の宝箱」にも記載されていなかったから、真相は知らない。
自分なりに考えてみたことは、単純に貸靴は課金しやすい、ということ。
足のサイズという定量化された規格によってユーザーに対し、比較的フィットしたサービスを提供できるから、料金がとりやすい。
いっぽうでハウスボールには重さだけではなく、ホールサイズやコンベンショナルといえどもスパンだって無視できないといったように選択要素が多岐に存在し、ユーザーにフィットしたサービスを施して対価をいただくのはボウリング場の現実として難しい。
貸靴は圧倒的に盗難が多い、という事情から損失補填の意味もあったのかも知れない。
筆者が大学生の頃、同じアパートにボウリング場から盗んだ貸靴を普段履きにしていた貧乏学生がいて、雨の日に横断歩道の白線の上で滑って転んだことを思い出した。
余談だけれど、昔はハウスボール選びの時にプロボウラーが話しかけてきて、ボール選びのアドバイスをしてくれた。
ハウスボールで見事な投球も見せてくれて、コツを聞いたら「マイボールを作ったら親指は最後に入れるんだけど、ハウスボールで投げる時は親指から先に親指の根元までしっかり入れて、その次に中指と薬指を入るところまで入れればいいんだよ」と教えてくれた。
確かに、そうやってボールを持ってみるとしっかりスイング出来て、掌にボールが乗っている感覚もあり、回転数が増え軌道も安定してスコアが上がった。
のちにマイボールを作った時のフィット感が、この時に教わったハウスボールの持ち方に近かったから、筆者は今でもハウスボールを使う時には親指のホールサイズでボールを選び、親指から先にしっかり入れるようにしている。
今の若いプロボウラーの教え方を見ていると、マイボール同様にハウスボールもフィンガーから入れさせ、サムは最後に入れると教えている。
ボウリング教習の指導要領でもそうなっていると思うから余計な口出しはしないけれど、若いプロボウラーたちはハウスボールでハイスコアを出す研究をした結果、自分自身で会得したコツを伝授しているわけではないと思うから、昔のプロボウラーは今よりもずっと粗野だったけど、偉かった部分もあったように思う。
教習段階どおりに順次進んでいくボウリング教室は合理的で良い仕組みだけれど、ハウスボールユーザーに速成の成功体験を与えるような機会も増やしていければ、ボウリング場はもっと流行るようになるかも知れない。
「女子プロボウラーがハウスボールを使ったサムレス投法を教えます!」みたいな深夜企画を若者向けにやってみるとか面白いと思うけれど、そもそもマイボールとメカテクターが無いと投げられないかも知れないから、無理かも知れない。

カテゴリー: ボウリング業界 思い出話

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