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スポーツボウリングだけでは…

ボウリング業界の将来について同業者と語る時、経営価値観の差異が気になります。
経営者自身がボウラーであったり、ボウリング場の経営者でありたいという強い願望を持っている人も確かに居ます。
単独店舗でボウリング場オンリーの会社に多いそういう経営者は、財産を減らしてでも経営を続けていってくださるでしょうし、黒字なら間違いなくボウリング場を続けます。
一方で、投資家、実業家が経営している場合は、たとえボウリング場が黒字経営でも、「もっと他に儲かるビジネス」があれば、ボウリング場は無くなります。
ボウリングを愛する者にとっては寂しい選択ですが、ビジネスとして見れば正しい選択なのです。
テナントで入っているボウリング場であれば、ボウリング場経営者が続けたくても施設オーナーが取り壊しや建て替えなどを選択すれば、ボウリング場は無くなってしまう場合もあるでしょう。
オリンピック開催が決まって東京周辺の地価が高騰しています。
面積を使うわりに収益性の低いボウリング場は、地価に対する収益効率が低いため、例えば耐震のための建て替えなどがあれば、残る可能性は低くなります。
多額の法人税を納めている企業ならば、テナントの原状回復工事や建物の取り壊しなどのコスト、更には余剰従業員に割増しの退職金を払って退職してもらう解雇コストなどを損失計上して損金処理すれば、法人税の節税効果を得られます。
儲かっている企業ほど、事業の撤退メリットもあるわけです。
撤退や廃業のタイミングを失うと、従業員への給料未払いの果てに倒産し、多くの人に迷惑をかけたりします。
ですから、どんなにボウリングが好きでもまともな経営者は、泣く泣くボウリング場を閉めているのが現実です。
集客力のある複合レジャー施設に行っても、混雑しているわりにボウリング場だけが空いている状況ですから、冒頭の経営価値観の話で言えば、LTBなどで熱心にボウラーを作って得られる黒字程度では、場所によっては坪単価効率が悪くて事業転換を経営者が考える場合もあり、また、値上りした賃料に耐えられなくなって続けられないテナントも出てくるでしょう。
ボウリング好きの僕が悲しいのは、スポーツとしてのボウリングでは、産業として投資対象となるほどの収益性が今は無い、という点です。
大衆レジャーとしての地位をもう少し上げなければ、産業として厳しい。
3Dアニメーション全盛時代に人形劇で観客を集めなければいけない、そんな苦労を感じています。
だから、経営者自身が人形師で、人形劇マニアとの交流を楽しんでいるような人形劇団に居る人たちとは、なかなか話が合わないのです。

カテゴリー: ボウリング業界

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