コンテンツへスキップ →

フラットガターの深さ

ピンデッキ(レーンの先のピンが立っている場所、スイープが稼働する範囲)の脇のガターを「フラットガター」と呼びます。
レーン脇のガターは丸みを帯びているので「ラウンドガター」と呼ばれています。
「フラットガター」はその名の通り平らなものですが、ピンデッキ表面からの深さはルールで定められています。
ただし、ボウリングのルールは規定範囲というものが多く、例えばファールラインからスパットまでの距離も、規定範囲の中でボウリング場によって違います。
当然、フラットガターの深さも、規定範囲の中でボウリング場により異なります。
レーン毎でも違う場合があるはずです。
2010年に稲沢グランドボウルを改修した時に、このフラットガターの深さを全レーン一定になるようにしました。
規定範囲の中で一番深くしました。
しかも、左右ともにです。
業者さんにもよりますが、少なくないケースで、業者さん任せにすると右よりも左のフラットガターを深く掘ります。
フラットガターが深いと、一度倒れてガターに落ちたピンが、残りピンに触れて倒す確率が減ります。
左のフラットガターを深くすると、レフティの7番ピンタップが増えることになるのです。
レフティはアウトサイドを使うボウラーが多いのですが、一般にアウトサイドアングルはフッキングポイントがポケットより遠いため、ポケットヒットしたあと中へ寄る力が弱い場合が多く、結果としてセカンドインパクト(1番ピンの直後に当たるピン:右投げなら3番、左投げなら2番)が厚くなり、右投げなら6番が10番に当たらず外に飛ぶ/左投げなら4番が7番に当たらず外に飛ぶ、というピンアクションになります。
つまり、右よりも左のフラットガターを深くするのは、レフティの7番ピンタップを相対的に増やす結果となります。
これは恐らく、アウトサイドの壁を使っていた時代に投球者が少なく壁が長持ちするレフティのコーナーピンタップを増やすことでバランスをとっていた名残りでしょう。
しかし、現在の高度に発達したレーンメンテナンスマシンでは、必ずしもレフティ有利でもなく、むしろアウトサイド一辺倒のレフティでは通用しない時代です。
可変的ならともかく、固定的な装置で有利不利のバランスをとるべきではないとの考えと、「ラッキー」の発生を極力抑えてボウリングの競技性を担保するために、僕は稲沢グランドボウルのフラットガターを全レーン、左右ともに規定いっぱい深くしたのでした。
こんな裏事情からも解るように、同じパターンのコンディションを作っても、試合会場と同じ環境を再現することは出来ないのです。
キックバックボードの弾性にも個性がありますから、大きな大会に出る選手は可能な限り、試合会場で事前に練習投球をして、ピンアクションの特性を知っておくことが必要だと思います。

カテゴリー: ボウリング業界 経験論

コメントは受け付けていません。