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改正労働契約法の5年間ルール

労働契約法の改正で、有期労働契約の従業員(契約社員、パート、アルバイトなど)を通産5年間雇用した場合は、本人が希望すれば正規雇用(正社員)としなければならない。
この「5年間」の起算は2013年4月1日から始まるので、この日以降通産5年間働けば、アルバイトや契約社員は原則として正社員になれるのだ。
我々ボウリング場は労働集約産業のうえに繁閑のギャップが大きな業態がゆえに、アルバイトなどの非正規雇用によって員数調整をおこない労務コストの適正化を図っている。
通産の実質就労時間ではなく雇用契約開始から更新を経つつも5年間なのであるから、現在重宝しているベテランアルバイトや契約社員は、連続雇用5年を前に正規雇用とすべきか雇い止めとするかのジャッジをしていかなければならない。
難しいのがプロボウラーで、ドリラーとかコーチとして評価の高い者は、営業力に持続性のある「人材」なので正社員として雇用する合理性は経営側も認められるものだと思うけれど、一時的な「人気」だけの者は所詮「商材」に過ぎないので、正規雇用する整合性が乏しい。
昔のようにボウリング場を経営する社長たちがプロボウリングのタニマチではなくなっているので、過去の「優勝回数」などはマニアの大切な思い出ではあるが、今では商業的価値がまったく無いと言っていい。
プロボウラーだからと言って、今のボウリング場スタッフとしてはボウリングをする以外に何が出来るのかが問われる時代なのだから、プロライセンスを取得したら送迎バスの運転資格を取るとかマネジメントセミナーに通うなどして、自らの人材力を高めておくべきだろう。

とは言え、ボウリング場スタッフはアルバイトが大多数なために、労働者の流動性が高くベテランが生まれにくい職場である。
単純に見えるボウリング場のオペレーションではあるが、サービス品質維持のためには業務に精通したベテランは欠かせない存在である。
相手がマニア客層であろうが一般客層であろうがボウリングに興味を持てない者にとっては面白味に欠ける職種のようで、例外的な変わり者を除けば、結局はボウリングが好きな者しか残らないのが現実だ。
大概のボウリング場では、基幹社員の多くがアルバイトからの昇格である。
そう考えると、改正労働契約法の「5年間ルール」など、我々ボウリング場にとっては恐るに足りないものかも知れない。
むしろ産業としてのボウリング場を蝕んでいるのは、マネジメントも出来ずボウリングが好きなだけでベテランスタッフとなり基幹社員となっていく体質ではないだろうか。
大企業の多くで、同期入社の仲間が転職や出向で10年も経てば数分の一に減ってしまうような激烈な競争社会を社内に作り上げ、競争力を維持していることを考えると、ボウリング場も正規雇用による労務コストの増大を恐れず、優勝劣敗の厳しい競争環境のある職場を作り上げて幹部社員の地位に流動性を持たせ、上席者のポジションを虎視眈々と狙う人材を抱えるようでなければ、生き残る事は難しいのではなかろうか。
さりながら、現在のボウリング場経営は「人件費圧縮」と「ディスカウント商法」という縮小再生産のスパイラルに陥っていて就職先としての魅力を落とす一方で、連結決算による黒字減らし施設であったり親会社余剰人員の左遷ポストとなっていたりするから、人材力で日本経済の荒波を乗り切る時期をとうに逃がしてしまったのかも知れない。

【補足】「改正労働契約法のどこにも正規雇用とか正社員にしなければならないとは書いていない」というご指摘をいただきました。
そのとおりです。
なぜなら「正規雇用」や「正社員」は法律用語ではないからです。
法律では、5年間連続で就業した「有期雇用契約」労働者を、本人が希望すれば「無期雇用契約」として雇用することを義務付けていますが、この法律の主旨や目的を考えれば、この「無期雇用契約労働者」が労働現場において「正規雇用」とか「正社員」と呼ばれる待遇を指していることは明白です。
この法改正の結果、改正の目的どおり非正規雇用が減り正規雇用が増えるかと言えば、むしろ非正規雇用労働者を5年未満で雇い止めすることが増えると予想されます。
3年連続就業したあとに六ヶ月以上のクーリング期間(空白期間)があれば、連続就業年数のカウントがゼロに戻るので、3年での雇い止めが横行するかも知れません。

カテゴリー: ボウリング業界

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