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同じ道を辿るもの

Facebookの投稿で、非常に示唆に富んだ内容のものがありました。
かつてある程度ゲームにはハマっていた方の投稿だったのですが、ゲーム業界の流れを消費者なりに鋭く分析されていて感心しました。
そのまま引用するのもいかがなものかと思われますので、内容を翻案援用させていただきながら、起稿してみましょう。

コンピューターゲームは「ストリートファイター」に代表される対戦型を契機にブームとなりました。
その後、インターネット対戦などが導入され、単独でも「どこかの誰かと遊べる」ものとなって隆盛へと向かっていきます。
対戦型の性質上、そこにはスキルによる序列が生まれ、ヒートアップした参加者の競争心を刺激する機種が続々と誕生していきました。
製造メーカーは新機種の開発に投資を増やし、コスト回収のためにバージョンアップのサイクルが速くなっていきます。
一方で、ゲームセンターは「計算できる固定客」として、コアなゲーマーを歓迎します。
どんな流行でもそうであるように、この世界にも成熟期が訪れました。
やり込んで相当に習熟したハイレベルゲーマーの存在が序列を固定化し、消費者の新規参入意志を阻む結果を招き始めたのです。
コアゲーマーの中には習熟に限界を感じて離れていく人も居ますから、新規参入が無ければマーケットは縮小します。
そうした環境下で、ゲームメーカーはコストの回収のために課金を増やし、バージョンアップの価格を引き上げてきましたから、ゲームセンターの経営は厳しいものになっていきます。
そして、新しいゲーム機を購入できないゲームセンターは苦し紛れのディスカウントに走り、やがて姿を消していきます。

これって、我々ボウリング業界に似ていませんか。 ハイレベルなコアゲーマーが「プロ協会」を作ってはいませんが、ギャラリーを集める「名人」は存在します。
ボウリングも「ゲーム」である以上、スコアや勝敗(競争)が参加者の満足感や達成感であり、消費者はそこに対価を払っています。
この本質を無視して販売しようとしても、刹那的な結果しか得られません。
現在の固定客層の価値観による序列とは別の、新しい、新規参入者にもチャンスのある序列を考え出さなければなりません。
恒久的に「ゲーム」に参加させるには、達成感の機会と向上心の持続が必要不可欠であり、参加者の序列化は避けて通れません。
既存の序列の自律的な活動を応援しつつ、新規参入者に諦めさせない新しい序列の育成、習熟に限界を感じた者への新たな目標の提示が必要です。
ボウリングという種目のルール変更も、少なくとも用具の部分は頻繁に変わってきているのですから、聖域ではないと思います。

ずっと昔に流行から成熟という流れを経験した囲碁・将棋は、「趣味」「教養」といったカテゴリーの中で文化として定着し、命脈を保っています。
碁盤と碁石、将棋盤と駒、もしくは代用品でもあればプレーできる手軽さが、生き残りの大きな要因だったと思いますが、江戸幕府以前からの権力者の公認による「権威」の維持も、ステータスを保ち参加者の動機づけや習熟を目指す向上心の基になってきたと思います。
我々のボウリングは、まだゲームセンターのゲームよりは「権威」と「効能」を持っていますから、これを上手に利用・育成・宣伝しつつ、ボウリング場の数を保ちさらに増やして、消費者の参加機会を減らさない事が大切だと思うのでありました。

カテゴリー: ボウリング業界

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