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思い出話

1フロア116レーンという巨大な稲沢グランドボウルについては、その経済的整合性をモルガン・スタンレーから認められておらず、グランドボウルチェーン15店舗(当時)の中で唯一リニューアル工事の対象から外され、2009年を最後に更地となり売却されることが決まっていたのだが、リーマンショックのために購入予定の会社が資金調達できず頓挫した。僕は2009年までと知らされながら、その守秘義務を負わされスタッフに知らせることを禁じられたまま、支配人をしていた。
そんななか、モルガン・スタンレー自体もリーマンショックの傷が大きく、日本国内で入手した資産の売却を急いでいたために、奇しくも2009年なかばに現在のオーナーが購入し、稲沢グランドボウルは解体を免れたのであった。
新オーナーも当初は、稲沢グランドボウルの扱いに迷っていたようだった。モルガン・スタンレーが唯一リニューアルせず、営業を継続するにはリニューアルが必須だったからだ。僕は、のちにギネス世界記録に登録されるほどの巨大なボウリング場を残したいがために、オーナーにハッタリをかまして巨額の投資を引き出し、稲沢グランドボウルを見違えるほどの姿に再生することが出来た。
その後オーナーからは「鈴木さんに騙された」と何度も嫌味を言われたけれど、結果ではなくベストを尽くしたかで評価するオーナーの価値観に救われ、執行役員にまで昇進できたのは幸運と言うほか無い。この器の大きなオーナーとの出会いが、僕のボウリング業界人としての人生を明るく照らしてくれたのだった。

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